最初に訪ねたのは中泊町にある特産物直売所。ここから山菜採りのベテラン、田中恵津子さんと成田昭さんの案内で山に向かった。
「私は山菜を採って瓶詰めにしたり、漬物を作ったりするのが好きだけど、実は自分ではあまり食べないのよ」
山菜を収穫しながら、田中さんはそう言って笑う。斜面にある山菜を採っているときには、視線はもう次の山菜を見つけている。30分くらい歩いただけで、ひと抱えのワラビやネマガリダケ(チシマザサ)が集まった。その後、湿地を好むミズの収穫に向かった。沢の両側に密集して生えていて、根元の色の違いによって赤ミズと青ミズがある。今回収穫したのは赤ミズで、根元の赤い部分を包丁の背でたたくと“とろろ風”に味わえるという。