東西約140km、南北約100kmに広がる福島県は、北海道・岩手県についで3番目の広さがある。南から北へ連なる阿武隈高地と奥羽山脈によって、大きく3つの地域に分けられる。いわき市を中心とする「浜通り」、福島市を中心とする「中通り」、会津若松市を中心とする「会津」と、それぞれ地域や文化にも違いが見られる。天候の違いも大きく、浜通りで晴れていても、会津では雪が降っていることも珍しくない。
福島県内で知られている伝統野菜は「会津」に伝えられているものが多い。その理由のひとつとして、夏は高温多湿で昼夜の寒暖差が激しく、冬は雪に覆われる点が挙げられる。四季がはっきりしているので、季節ごとに採れる独自の品種として定着してきたのだろう。もうひとつは、日本でも有数の米どころという点。山の養分を含んだ雪どけ水によって、おいしいお米が育つという。実は、魚沼コシヒカリで有名な新潟県の魚沼地域と会津は隣合わせで、気候も似ているのである。