中島菜はアブラナ科の仲間で、葉がギザギザになっていて、独特のほろ苦さと辛みがある。ビタミンCとカルシウムを豊富に含み、血圧上昇に作用する「アンジオテンシン(ACE)」という酵素の働きを抑える成分が青葉のなかで最も多く含まれることで注目されている。
中島町北部の西谷内地区の「七草会」では、中島菜の漬物を製造販売している。近隣の農家から中島菜を買い付け、水洗いしてから二晩塩に漬け込むだけ。着色料や保存料は使っていない。
「最近はほかの地域でも作っていますが、昔は中島市から外に出すなといわれていたほど地域に根ざした野菜でした。粘土質の土壌が向いているのか、熊木川流域で作った中島菜がおいしいんですよ」
七草会代表の山岸由紀栄さんによると、山を越えて違う地域で栽培しても、味や香りがなくなってしまうらしい。そのような理由から、長年にわたって自家採種され、町内だけで消費されてきた。今はJAが交配しないような畑で採種している。
夏に種まきして秋に収穫してしまう場合もあるが、七草会では9月下旬に種をまき、10cmくらいに育ったころに間引きを行なう。種まきの時期が早いと虫にやられたり、収穫時期に大きくなりすぎてしまう。昔は野沢菜のように大きく育ったものを漬けていたが、固くて食べにくかったという。おいしい漬物にするには、30cmくらいがちょうどいいそうだ。