里芋の種類は、芋部分を食べる子芋用と親芋用、茎部分を食べる葉柄用、芋と茎の両方を食べる兼用がある。一般に売られている里芋は子芋用の品種なので茎は食べないが、八つ頭や海老芋と呼ばれる兼用品種は芋のほかに茎も利用されている。
また、葉柄専用の蓮芋(はすいも)の茎を「ずいき」というが、地域によって兼用品種の茎のことも「ずいき」と呼んでおり、それを乾燥させた「いもがら」も流通している。いもがらは煮物にしたり味噌汁の具に使われる。里芋の茎や芋がらを利用した漬物は各地にあり、主に甘酢漬けにされている。
三重県の南、北牟婁郡紀北町海山区(旧海山町)では、昔ながらのくき漬けが作り続けられている。八つ頭の茎を利用した漬物は鮮やかな赤色で、さわやかな酸味とシャキシャキした歯触りが特徴。
「八つ頭は、このへんでは『八つ口』と呼んでいます。茎を利用するときは赤色のものがえぐ味がなくておいしいですね。漬け込むときに葉っぱが入ると色が青くなってしまうので、収穫したら切り落とします」
農家の川端浩之さんは、収穫の手を休めることなく教えてくれた。葉を切り落とした茎は水洗いし、仮漬け用の細長い容器に並べ、茎の重量10kgに対して塩100gの割合で塩を振り、茎を転がしてなじませる。最後にふたをして、茎の重量の3倍の重しをして1日置いておく。