東海漬物
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第40回 富山県【大きなかぶで魚を挟み、糀に漬け込んで発酵させた「かぶら寿し」】富山では「きときと(新鮮)」の魚が味わえることで知られている。にぎり寿司に人気が集まる一方で、ちょっと変わった伝統食として受け継がれているのが、「かぶら寿し」である。北陸地方の伝統的な家庭料理で正月には手づくりのかぶら寿しが欠かせなかったそうだが、最近は手間がかかることから家庭で漬けることは少なくなったという。

「なれずし」う地域もあるようだ。
 かぶら寿しの起源には諸説があり、江戸時代に加賀前田藩主が深谷温泉(石川県金沢市)へ湯治に来たときに提供されたのを起源とする説、農家が正月のごちそうとしてブリを食べる際にかぶで魚を隠すようにして食べたのが始まりという説、漁師が豊漁と安全を祈って正月の儀式のごちそうとして出したのが始まりという説がある。いずれにしても、江戸時代から冬の郷土食として親しまれていたようだ。

ご飯と魚が主役ではなく、野菜を味わう「なれずし」

 かぶら寿しは「なれずし」の一種で、塩漬けした大かぶを輪切りにして、ブリやサバやサケの切り身を挟み、糀で漬け込んで発酵させてある。シャキシャキした食感のかぶと、挟んである魚のうまみ、糀の甘味や乳酸発酵による香りが渾然一体となり、ご飯にもお酒にも合い、糀の白い色と千切りにしたニンジンの彩りも美しい。
 「かぶら」というのは「蕪」の事。かぶら寿しは北陸地方の石川や富山で作られてきた郷土 料理で、伝統的な発酵食品のひとつ。「なれずし」といっても、ご飯と魚が主役ではなく、寒 さ(霜や雪)にあたって甘味が増した大かぶの漬物の
印象が強い。
 口に入れると、最初は糀の上品な甘みが広がり、かぶの食感のあとで、やや遅れて魚のうまみが現れる。糀によって魚のタンパク質が分解されて、独特のコクや乳酸発酵による香りがなんともいえず、「味の芸術品」と呼ばれているのもうなずける。
 石川県の加賀地方や富山県西部、能登地方を除く旧・加賀藩の地域で広く作られている。石川県のかぶら寿しは輪切りのかぶにブリを挟んだものが一般的だが、富山県では半月切りまたはいちょう切りのかぶにサバを挟んだものが普及している。また、富山県東部ではサケを使
直径15〜18cm(重さ1.5〜1.8kg)のものを選びながら収穫して、1月中旬まで出荷される。ちなみに一般の小カブは約150gなので、10倍の重さがある。
 栽培のサイクルは、お米のあとに麦をつくり、翌年の稲刈り後にかぶを栽培するそうだが、連作すると根こぶ病が出てしまうので、数年間は同じ場所で作れないという。粘土質が向いているため、別の田んぼを利用して、順に作付けしている。
 粘土質の土壌で大かぶを育てると、粘土が成長をほどよく邪魔するために、かぶはじっくり育っていく。成長がゆっくりになると、よりきめ細かい肉質にな 
直径15〜18cmに育った「大かぶ」は、かぶら寿しのほか、千枚漬けにも使われるそうだ。 り、甘味が蓄えられていくそうだ。しゃっきり感と柔らかさを兼ね備えた純白の大かぶは、富山のかぶら寿しに欠かせない。

大かぶの産地を訪ねて

手ごろな大きさになったものから収穫する。霜が降りると甘みが増すという。

 大かぶは富山県内で栽培されているが、なかでも砺波市と南砺市にまたがる砺波平野は、大かぶの産地として知られている。南砺市にある「ふる里の味加工組合」(藤沢あや子組合長)を訪ねて、畑に案内してもらったあと、かぶら寿しの作り方を教えてもらった。
 1999年に発足した同組合は、60〜70代の女性ばかりで構成されている。地元
の白カブ、国産塩サバ、手づくりの甘糀を使って、昔から変わらない故郷の味を提供している。
 「この地域でもブリのかぶら寿しをつくっていますが、私たちのところでは昔からサバを使っています。だって、そっちのほうがおいしいでしょ?」(藤沢さん)
 かつての加賀藩前田家の領地が、かぶら寿しのエリアと重なっているが、石川県はブリ、富山県はサバと、単純には分けられないようだ。また、同組合ではか
「ふる里の味加工組合」の藤沢あや子組合長。 ぶら寿しづくりの体験会も開催して、好評を博している。
 大かぶの栽培は、稲刈り後の裏作として9月初旬に種をまき、本葉が5〜6枚になったら間引いて1本にする。11月中旬に収穫が始まり、
 樽にガーゼを敷いてから、サバを挟んだかぶを並べ、自家製の糀を上に広げて、ニンジンの千切りと唐辛子を加える。同じようにかぶと糀を重ねていき、4〜5段になったらガーゼで包み、その上に新しいガーゼを敷いて重ねていく。
 「なじませるために重しをして、4〜5日間、漬け込みます。漬け終わったら樽から出し、20〜30分くらい水切りしてから容器に詰めていきます」(藤沢さん)

かぶら寿しの作り方

最初に、大かぶの皮を厚めにむく。食べやすくカットしたかぶの中央に、途中まで包丁を入れ、サバを挟む。

 畑から工房に移動して、かぶら寿しの作り方を見せてもらった。まず、大かぶの皮を厚めにむく。このときに硬い部分が残っていると食感が悪くなるそうだ。上下を切り落として半分にしたあと、食べやすい大きさに切る。このときに、包丁を半分だけ入れた部分をつくっておき、そこにサバを
挟めるようにしておくのがポイント。
 切ったかぶを塩漬けにすると、1日でけっこう水が上がってくる。3日後に引き上げて、サバを挟んでいく。サバは、皮をとった冷凍サバを仕入れて、お酢とみりんに浸して一晩置いておいたものを前日から用意しておく。
塩サバはお酢とみりんに浸して前日から用意しておく。 樽にサバを挟んだかぶを並べて、自家製の糀を上に広げる。 ニンジンの千切りと唐辛子を加える。 4〜5日間、漬け込んだあとで容器につめて出荷される。
食べるだけでなく、塩抜きをして味噌汁の具にも使われる。
 海の幸と山の幸が重なる「かぶら寿し」や、飛騨を発祥とする山の幸の「赤かぶ」は、富山の人たちにとって、どちらも欠かせない漬物になっているようだった。飛騨紅かぶを使った甘酢漬けも人気の漬物。

山をへだて隣り合う食文化

飛騨紅かぶも栽培して、甘酢漬けに加工している。 また、ふる里の味加工組合では、美濃伝統野菜に指定されている飛騨紅(ひだべに)かぶを栽培して、甘酢漬けに加工している。扁球形で美しい紅色の皮で、内側の実は純白になっている。肉質は堅めだが、葉は柔らかいのが特徴。赤かぶは直径6〜10cmで収穫する。
 赤かぶの酢漬けは、4〜5日くらい塩漬けして、甘酢で漬け込
む。カット漬けと丸漬けがあり、丸いまま漬けたほうは、かぶの中心まで赤くなるのに20日以上かかる。
 このほか、家庭では葉付きのまま赤かぶを漬けることもあるようだ。その場合、通年食べられるように塩辛く漬け込み、漬物として

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