東海漬物
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第41回 静岡県【日本最古のわさび農家に伝わる、無添加の「わさび漬け」】ピリッとした辛みを持つわさびは、きれいな水がないと育たない。日本原産のわさびの学名はワサビア・ジャポニカ。わさびを食用にするのは日本と台湾のみだ。日本でわさび栽培が始まったのは、静岡市の山あい、標高600mほどの有東木(うとうぎ)集落。和食に欠かせなくなったわさびの歴史を知り、わさび漬けの作り方を教えてもらった。

栽培を教えに来ていた板垣勘四郎が、わさび苗を伊豆に持ち帰って栽培したのが始まり。恋仲になった有東木村の娘から、帰郷の際のお礼として密かにお弁当箱にわさび苗を入れられたと伝えられている。
大きく育ったわさびを手にする、「わさびの門前」の白鳥義彦さん

静岡市から車で50分の距離にある集落

わさび栽培は、井戸頭と呼ばれるこの湧水地に移植したのが始まり。 有東木(うとうぎ)集落は、国の民族無形文化財に指定されている盆踊りや、お神楽など貴重な文化が残り、新緑から紅葉、雪景色と四季折々の特徴ある風景が味わえる自然豊かなところ。
 およそ400年前の慶長年間(1596〜1615年)に、地元で「わさび山」と呼ばれているの渓谷一面に自生していたわさびを、集落近くの「井戸頭(いどがし
ら)」という湧水地に移植したのが、わさび栽培の始まりだと伝えられている。
 「わさびは全国で自生していますが、ここが栽培に適した水温だったんでしょうね。通常、野生のわさびは2〜3cmにしか育たちませんが、根の部分が大きくなる株を見つけ、それを集落の近くに移植して栽培するようになったようです」
 そう話すのは、日本最古のわさび農家「わさびの門前」の白鳥義彦さん。有東木には約70軒の民家があり、30軒ほどがわさびを栽培しているが、専業で営んでいるのは「わさびの門前」だけ。お寺の過去帳を調べたところ有東木で2番目に古い家らしく、1番古い家がわさび農家ではないため、有東木で一番古いわさび農家といえるそうだ。
 ちなみに伊豆半島のわさび栽培は、延享元年(1744)に伊豆天城からシイタケ
るなど、一定の環境にする苦労も絶えない。そして水深が上下しないように、水がなくならないように、水量にも気をつかっている。
 「苗を植えて1年半くらいで収穫時期になります。わさびは、適度な水さえあれば、年間を通して収穫できます。植えた時期によって出荷のタイミングが変わるので、注文や市場の動向を見て栽培サイクルを考えます。
 また、春と秋はわさびの生育が早くて水っぽくなってしまい、逆に冬と夏は伸びないので身が締まる傾向があります。冬と夏は少し辛味が強くなりますが、茎を漬物にするときは春と秋の柔らかい茎が向いてますね」
 収穫してきたわさびは、砂を落としてから、根わさびとして出荷する分と、わさび漬けの原料にする茎に分ける。一部は、そのままわさび田に植える苗として保存する。根わさびは、根にある毛を残したまま出荷するものと、毛を取り除いてから出荷するものに分かれる。
(左)収穫したわさびは、茎と根に分けられる。(右)根は表面に付いたうぶ毛を取り除く

苗づくりとわさび田の改良により
栽培が本格化

 わさび栽培は、株分けによる繁殖方法(分根苗)から始まり、畑に種を直まきした実生苗、バイオテクノロジーによるメリクロン苗と発展してきた。実生苗でいい品種をつくり、メリクロン苗で均一なものを育てることで、安定した出荷ができるようになった。
 「わさびの品種は、それぞれの農家が試行錯誤しながら、いいものを残していますが、沢の水が違うとうまく育たないんですよ。わさび苗が進化する一方で、わさび田も地沢式から畳石式に発展してきました」
段々畑になったわさび田に、時期をずらしてわさび苗を定植していく。
わさびの花は、2月ごろにしか見られない。花の漬物はほとんど地元にしか出回らない。 有東木でのわさび田は「畳」と呼ばれ、大きな石をいちばん下に置き、その上に少しずつ小さくなった石を積み上げ、地表20cmほどに砂状の作土を敷いてある。この仕組みによって、表面を7〜8割、直下に2〜3割に水が流れるようになり、わさびの根の先まで水が行き渡り、大きく育つようになっている。
 「沢わさびの場合、水の少なくなる冬場に確保できる水量によってわさび田の大きさが決まります。段々畑で、上のほうは湧き水が直接入って苗が大きく育つので『上等田』と呼ばれ、下のほうは水温が安定せずに育ち方もバラついてしまうので『下等田』と区別しています」
 わさび栽培のポイントは、水の管理。水温は年間の温度差が少なく、15〜18度前後が適温とされている。11月から3月にかけてビニールをかけて保温したり、5月から10月は寒冷紗をかけて日陰をつく
(左)茎を加えてからも、同じように混ぜる。(右)酒粕の粒もなくなり、なめらかになったら完成。
油や味噌に続いて、わさびも世界に広がりつつある。
「わさびの門前」は白鳥義彦さんで17代を数える。400年もの間、山あいの有東木集落で、さまざまな苦労を乗り越えて、わさびを作り続けてきた。その恩恵が、無添加のわさび漬けとなって結実しているようだった。
無添加のわさび漬けは、わさび本来のピリッとした味わいがあり、香り豊か。

わさび漬けの作り方、さまざまな食べ方

わさびの根を乱切りにしてフードプロセッサーにかけて刻む。(上) 自家製の酒粕に加える。(下)

 「わさびの門前」では、無農薬で栽培したわさびを収穫して、その日にわさび漬けに加工する。まず、わさびの根を乱切りにして、フードプロセッサーでみじん切りにする。このときに皮はむかずにそのまま使う。皮に近い部分に辛味成分が多いようだ。
 みじん切りにした根を酒粕に加え、丁寧に手で混ぜていく。柔らかさ、なめらかさ、酒粕の粒の具合など、手触りでなければわからないそうだ。
 わさびの茎は、5mmくらいに切って、アクを抜くために塩をふって重石をして、4〜8時間後に水洗いして、水分を搾っておいたものを使う。酒粕にわさびの茎を加えて、さらに手で混ぜる。全体が硬いときは、日本酒を加えて調整する。
 「寒いときがいちばんおいしいので、お歳暮の時期になると注文が増えて忙しくなります。つくってから1日くらいおくと、味がなじんでおいしくなるので、発送するとちょうどいいころに届きます。冷蔵庫で2週間くらい保存できますが、その先は色が悪くなって香りが飛んでしまうので、長期保存するときは冷凍してください。ただ、冷凍すると茎のシャキシャキした食感が少し落ちてしまいますけどね」
 わさび漬けのほかにも、さまざまな食べ方がある。まず、わさびの茎を食べやすい大きさ(2〜3cm)に切り、少量の塩を加えてもみ、30分くらい置いておく。
 鍋にお湯を沸かして沸騰したら火を止めて、塩でもんだ茎を入れて、色が濃い緑色に変わったら(10秒ほど)すぐにザルにあげて冷水で熱をとる。
 このときに、お湯につける時間が辛味を引き出すポイント。長すぎると辛くなくなり、早すぎると苦くなるそうだ。密閉容器に入れて冷蔵庫で保存できる。
 下ごしらえしたわさびの茎があれば、好みの味つけで楽しめる。茎100gに塩昆布10gを混ぜて半日寝かせれば「昆布漬け」になるし、三杯酢や醤油で漬け込んでもいい。
 「農家ならではの、無添加のわさび漬けは貴重だと思います。ぜひ、わさび丼を試してください。ご飯の上に鰹節をたっぷり載せて、わさびのすりおろしと醤油で食べます。天かすを加えると辛味が和らいで食べやすくなります」
 最近は海外からの注文や訪問客も多く、1割は海外へ出荷しているそうだ。醤
(左)手で感触を確かめながらしっかり混ぜる (右)続いて、塩漬けしておいたわさびの茎のみじん切りを加える。

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