東海漬物
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第5回 沖縄県
南国に伝わる 「パパイヤの漬け物」
沖縄の漬け物といえば、島らっきょうの塩漬けが一般的だが、コーレーグース(島とうがらしの泡盛漬け)も調味料として親しまれている。このほかに、砂糖で甘く漬ける「地漬(ジージキ)」があるが、これはオバー(おばあちゃん)が漬ける家庭の味。白うりや大根、らっきょうなどの冬野菜を使うことが多く、夏野菜のゴーヤーやパパイヤでも作られる。
 那覇市の中心地である国際通りから少し入ったところに、牧志公設市場(まきしこうせついちば)がある。豚肉や山羊肉を扱う店や色とりどりの魚を並べた店がぎっしり連なっていて、一角に乾物や漬け物屋がある。漬け物屋の前で立ち止まったとたん、これを食べなさい、こっちも食べなさいと、“わんこそば”のように次々に試食させられてしまった。島らっきょうの塩漬けやキムチ風のもののほか、ゴーヤーのぬか漬けもあった。
 「沖縄の人はキムチをよく食べますね。辛いのか甘いのか、はっきりした味が好きなんです。ぬか風味の漬け物もありますが、酸味があると傷んでいると思われてしまうんです」
 そう教えてくれたのは、漬け物メーカー「彩園」所長の天願常典さん。天願さんによると、ふだん家庭で食べているのはキムチか梅干しが多く、ぬか漬けなどを食べる習慣はあまりないとのこと。市販の漬物も昔は東海漬物の「味キムチ」、たくあん、福神漬けくらいしかなかったそうだ。沖縄にキムチの食文化を伝えたきっかけは「味キムチ」だったのかもしれない。
 スーパーのキムチコーナーと同じように、梅干コーナーも品揃えが多い。そのどれもが甘い梅干しで、梅の表面もしわがなくつるりとしている。梅干しの消費量が人口比で日本一(北海道と首位争いをしている)と聞いて、さらに驚いた。このほか、ゴーヤーを使った昔からの漬け物に糖漬けや酢漬けがあった。ゴーヤーのキムチが出てきたのは10年くらい前からで、県外の人のリクエストで作り始めたようだ。
 ゴーヤーは通年あるが、島らっきょうのシーズンは2月末から7月末まで。塩の浅漬けが一般的で、県外の売り上げが伸びているという。彩園では島らっきょうを刻んで加えた「がんじゅうキムチ」が人気。「がんじゅう」とは、健康で長生きする(願寿)意味の沖縄言葉である。
牧志公設市場(まきしこうせついちば)の一角に並ぶ、色とりどりの漬け物
沖縄ではキムチが人気

青いパパイヤの 漬け物
 那覇市から車で1時間ほど走り、中頭郡西原町(なかがみぐんにしはらちょう)にある「あやめ加工所」を訪ね、呉屋光子さんにパパイヤの漬け物を教えてもらった。
 「昔から、各家庭に2〜3本のパパイヤが植えてあるんです。皮の表面に白くにじむパパイヤの酵素(パパイン)。熟したパパイヤにはほとんど含まれない。黄色く熟したものは果物として食べますが、年中収穫できるので、青い実を野菜炒めにしたり、漬け物にしています」
 呉屋さんが作っているパパイヤ漬けは、醤油漬け、味噌漬け、和風漬け(醤油+砂糖)の3種類。醤油漬けの手順は次のとおり。
青パパイヤは種を取り、四つ割りに。早く漬けたいときは、さらに薄切りにする。
半分に割って種を取り、四つ割りにして皮をむいて30分以上水につけてアクを抜く。それを熱湯で1分くらいゆでて水にさらし、水気を切って塩もみしながら漬け込む。3〜4日後に取り出し、砂糖をまぶして2日間塩抜きを行なう。重しをして50〜60%になるまで脱水し、調味液で本漬けを行なう。
 「漬け物は歯ごたえが命。脱水しすぎると固くなるので注意してください。長期漬けはあまりしなく、浅漬け中心です。パパイヤを食べると母乳の出がよくなるので出産後のお母さんに愛されてきたとか、パパイヤの酵素で肉が柔らかくなるとか、最近の若い人は知らないみたいですね」
 パパイヤは熱帯アメリカの原産で、沖縄には17世紀半ばに伝わったという。ミネラル類やビタミン類も豊富に含まれていて、
未熟の実にはタンパク質分解酵素「パパイン」が含まれており、消化を助ける効果がある。野菜が不足する酷暑の時期に収穫できるため重宝されているが、強風や潮風に弱く、水はけが悪いと根腐れを起こしてしまう点が問題だった。
 そのため沖縄のパパイヤ栽培は施設利用が進められてきたが、1年で1メートルくらい伸びて屋根に到達してしまうので、苗を傾斜させたり、斜めに誘引する工夫がされてきた。しかし、土壌伝染病の根腐れ病が数年で蔓延するため、同一施設内で連作できないという課題もあった。
薄切りにして漬けると1日で食べ頃に。パパイヤの醤油漬けは福神漬けに似た風味と食感。
調味液に漬けた状態。四つ割にしたパパイヤは、1ヶ月程で食べ頃になる。

石垣島のパパイヤ 栽培と地漬
 石垣市ではその課題に取り組み、パパイヤ栽培の特許を取得してパパイヤのブランド化を目指している。その中心になっている「石垣市パパイヤ研究所」の設立は2005年12月だが、石垣市でパパイヤの本格的な栽培研究が始まったのは1995年のこと。実を結ぶ雌株の苗を培養したり、肥料分を液体で与えるポットによる養液栽培の研究を重ね、6年後に「パパイヤ栽培方法」の特許を出願する(2004年に取得)。
パパイヤのポット栽培。成功までには、様々な試行錯誤があった。
 栽培農家のひとり、玉城真男さんはその苦労を振り返った。
 「パパイヤは水はけがよく、通気性のいいところが適地なんです。苗づくりに使う軽い土があったんですが、大きいパパイヤには向きませんでした。土にも
みがらを混ぜてみたけど、もみがらだけが土の表面に浮いてうまくいきませんでした」
 そのあとに目をつけたのが、浜辺に積み上げられていたサンゴダストだった。砂を採取したあとにふるって残ったサンゴのかけらで、産業廃棄物として処理に困っていた“厄介者”だった。
 「ポットの土に穴を開けてサンゴダストを入れてみたら、その部分に3日で根が届くことがわかったんです。パパイヤは乾燥し
て通気性のいい場所を求めていたんですね。穴の数を増やしていって、いちばん元気がよくなったときの比率を計算して、土とサンゴを混ぜて培養土を完成させました」
 背が高くなってしまう課題は、背が高くなるのが遅い品種を選ぶと同時に、頭頂部の新芽を摘むことで横から枝を延ばす方法で解決したという。石垣島パパイヤは、玉城さんのほか数名の農家と石垣市が共同で取り組み、無農薬を基準に栽培・出荷している。
(左)青パパイヤは野菜として、千切りにした状態で売られている。(右)熟したものは果物の扱い。特許栽培による、無農薬の「石垣島パパイヤ」
 石垣市の身体障害者通所授産施設「大浜工房」では、パパイヤ漬けを教えて40年という宮良ユキさんに昔ながらの甘い漬け物づくりを教わった。
 塩漬けから塩抜きまでは「あやめ加工所」で聞いた方法とほぼ同じだが、塩抜きの砂糖をまぶす期間は2週間と長い。本漬けに使う調味液は宮良さんが長年使い続けているもので、漬け終えたあとは濾過・煮沸してアクをとり、新しい調味液を加えている。
 本漬けの調味液は、黒糖と白砂糖を同量混ぜて、味噌を溶かして味を調節する。漬け込んだあとは月に1度漬け汁の交換を行ない、7〜8回の味見を経て、半年以上あとにようやく完成する。八重山諸島ではご飯
@四つ割りにした青パパイヤは水洗い後、塩を入れた湯で10秒程ゆがいてから「一回漬け」の工程に移る。A「一回漬け」といわれる工程。樽に並べ、塩水で1週間漬ける。この後砂糖をまぶし、さらに2週間置く。B「本漬け」に使う漬け汁。黒砂糖、白砂糖、みそなどを継ぎ足しながら味を調える。C漬け替え(漬け汁の交換)をしながら、半年ほど漬け込む。
おかずやお茶請けのほか、八重山そばに添えるなどして食べられているそうだ。非常に甘い漬け物だが、初めて食べた人はお酒で漬けたと思うほど独特の醗酵臭があった。
漬け上がったパパイヤの地漬。 芳醇な甘さと、独特の深い味わいを持つ。

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