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第16回 新潟県

ナス消費量日本一・新潟に伝わる「ナスの泥漬け」

全国でいちばんナスを食べているのは、新潟県民だという。丸く小さい「十全」系、巾着袋に形が似た「巾着」系、長さ30cm近い「ヤキナス」など種類も豊富で、漬物・煮物・焼物・揚物などはもちろん、味噌汁や豚汁の具にも活用されている。在来のナスを復活させている地域の取り組みを調べるうちに、泥に漬けるという珍しい漬物に出会った。

ナスの「泥漬け」。手前は泥から取り出した状態

ナスの「泥漬け」画像


色や形、大きさも様々な新潟のナス。現在は18品目が栽培されている。

都道府県別のナスの作付面積では、新潟県が日本一。ところが、収穫量は6位、出荷量は17位と大きく下回っている。さらに10アール当たりの収穫量では下から数えたほうが早く、44位とふるわない(平成21年度農林水産省調べ)。新潟県では露地栽培が多く、ハウス栽培での収穫が多い他県と差がついているようだが、それだけではない。ナスの実を大きく育てないで、実の引き締まった小ぶりのナスを好み、自分たちで毎日のように食べてしまうからだ。

ナスはインド原産で熱帯性の植物。それが中国大陸を経て、かなり古い時代に日本に伝えられた。奈良時代にはすでにナスを食べていた記録があり、江戸時代後期には野菜の中ではもっとも需要が多く、日本最古の農書『農業全書』にも、ナスの苗の育苗法や栽培方法が詳しく書かれている。当時は形の違いのほかに、紫色・白色・青色のナスがあった。

世界中でたくさんの種類のナスが栽培されているが、日本だけでも70種近くあるという。関東で人気の「卵形ナス」、関西で人気の「長ナス」、京都の賀茂ナスに代表される「丸ナス」、九州で焼きナスにする「大長ナス」、へたが緑色でずんぐりした「米ナス」、山形の民田ナスのような小ぶりの「小丸ナス」などがある。

新潟県内では18品目のナスが栽培されている。一般に知られる品種のほかに、小ぶりの「魚沼巾着」、新潟市北区特産の「ヤキナス」があるが、あまり市場に流通せずに地元で消費されている品種のほうが多いかもしれない。

地域の子どもに食べさせたい「久保ナス」

柔らかくて甘みがあり、へたと実の境目が 白くなるのが特長

新発田市久保(旧豊浦町)で昭和初期から栽培されていて、「えんぴつナス」とも呼ばれている「久保ナス」は、とろりとした肉質と糖度の高さが特徴。一時期は人気を集めたが、収量が少なく、栽培に手間がかかることや実の色づきが難しいことなどから、近年は市場から姿を消していた。

「40年くらい前から自家採種しながら久保ナスを作ってるけど、ほとんどが自家用ですね。でも、このナスは柔らかくて甘味があるので、ほかのナスが食べられなくなるんですよ」

そう話すのは、同市五十公野地区で農業を

地域の子どもに食べさせたい「久保ナス」

営む浅香正範さん。地元JAは、農家が自家用に作り続けてきたこのナスに注目し、新発田の地場野菜として復活させようとしている。久保ナス部会を作り、今年は10名で800株を作付けした。

もともと色が薄く、へたと実の境目が白くなるのが特徴。成長が早く、小ナスの状態で収穫しないと、2〜3日後には長ナスになってしまうそうだ。皮が柔らかくて傷つきやすい点も、市場に出回らない理由かもしれない。
 小ぶりのものは浅漬けやぬか漬けにすると、皮の柔らかさや実の詰まった感じが味わえる。長さ25cmほどに育ったものは焼ナスや蒸しナスにして、生姜醤油で食べると甘味が際立つ。

一昨年からは、月岡温泉の旅館で久保ナスを使って観光客をもてなしている。また、「地元にこんな野菜があると知ってもらいたい」との思いから、学校給食で子どもたちに食べてもらう計画があるそうだ。

「久保ナス」の浅漬け



純白の白ナス、薄緑色の白ナス

ナスの色は濃い紫色が一般的だが、中には真っ白いものや薄緑色のものがある。西蒲原地域では、美しい白肌が特徴の「白ナス」があり、昭和初期から一部の農家が自家採種をしながら作り続けてきた。「久保ナス」と同じように地域の特産品として取り組み、「越後白ナス」と名づけて販売している。

一方、阿賀野市で作られてきた「白ナス」は、薄緑色で米ナスに似た形をしている。へた側から薄い縦縞が入る特徴があり、同じ色

「越後白ナス」

薄緑色の米ナスに似た形の「白ナス」


「白ナス」を作っている北見春江さん

純白の白ナス、薄緑色の白ナス

でもこの縞がないものは「青ナス」と呼ばれているようだ。

白ナスを作っているのは、農家の北見春江さん。有機栽培のコシヒカリを作る米農家で、減反した田んぼを利用して野菜を作っている。

「私が白ナスを作り始めたのは、2年前からです。地域の人に苗を10本くらいもらったんですが、直売所に置いても売れないので、今年は5株しか作ってないんですよ」

細長くなる「ヤキナス」や「水ナス」などが続く畝の端に、申し訳なさそうに白ナスが育っていた。けれども、その姿は立派である。栽培方法は一般のナスと同じで、

「久保ナス」のように難しい点はない。一部の実を収穫しないで残しておいて、黄色く熟したら種を採って翌年に備える。

皮は硬めで、実が詰まって崩れにくいので、味噌漬けや煮物などに向いている。アクが少なく煮汁の色が黒くならないので、お盆のときに供える煮物に重宝するという。ナスが旬の時期に作る「くじら汁」の具にも使われる。

「白ナス」の味噌漬け



山の土と海の塩で漬けた、の「泥漬け」

同じ阿賀野市で農業を営む渡辺耕介さんのお宅で、ナスの「泥漬け」を食べさせてもらった。その名のとおり、粘土質の土を水で練り、塩を足したものを床にして、ナスを一晩漬けたものである。「この辺りの田んぼは砂が多かったため、粘土質の赤土を客土にして

ナスの「泥漬け」について説明する渡辺耕介さん

いました。以前はその土を採取する専用の場所があって、その土で泥漬けを作っていたんです」

今は農道から少し山に入って赤土を探してくる。粘土質が強すぎると手に付いてしまうので、粘土4に対して少しさらさらした土1の比率で混ぜて、柔らかめに水で練る。

1.粘土質の赤土 2.ブレンドした土に、水と塩を加える 3.全体を混ぜながら水、塩加減を調整する 4.小ぶりの「水ナス」をまるごと泥に漬け込む

塩は目分量だが、舌でなめてみて少ししょっぱさを感じるくらいにする。塩の加減が難しく、ちょっと足りないくらいがちょうどいい。泥漬けに使うナスは、在来品種の「水ナス」か「十全ナス」、改良品種の「美男」が向いている。なお、泥漬けにするのはナスのみで、ほかの野菜を漬けることはないそうだ。

ふたをして重しをのせておくと、翌朝から食べられる。泥の漬け床は1週間くらいの

間に3〜4回は漬けられる。

「昔はどこの家でも作っていたけど、粘土臭いから嫌う人もいるみたいだね。泥漬けにすると皮が柔らかくなって、自然な色できれいに漬けられるんだよ」

この泥漬けは、北陸や徳島の山間部でも作られている例があるようだが、その地域でしか食べられていない野菜があり、そこで暮らす人たちしか味わっていない漬物がまだありそうだ。

皮が柔らかく、自然な色がきれいな「泥漬け」



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