東海漬物
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第27回 熊本県

生の阿蘇高菜を刻み、豚肉と油揚げを加えて炒め、醤油で味付けする「菜焼き」と呼ばれる郷土料理もある。
 「阿蘇高菜は在来種で、九州各地にある高菜のルーツは阿蘇だと思っています。九州を流れる筑後川・菊池川・大淀川の源流は阿蘇山地で、河川敷に生えていた野草の高菜が川を伝わって流れて、それぞれの土地に根づき、栽培されるようになったのかもしれません」
 元々、自家用に栽培していた阿蘇高菜は、それぞれの家の畑の一角に残して自家採種されてきた。同じアブラナ科の野菜と交配しやすく、各地で独特な高菜が生まれている。阿蘇高菜

の種をほかの地域で蒔いても、翌年からは少し違う高菜に変化してしまうそうだ。阿蘇高菜でも、以前はもっとピリッとした風味があったそうだが、しだいに辛みが減ってきているという。

九州の高菜は阿蘇がルーツ

 熊本にそびえる阿蘇山の周辺は、火山灰を多く含んだ土壌で、厳しい冬の気候が特徴。高菜漬けに使うのは春に育ってきた茎の部分で、1本ずつ手で折りながら収穫していく。
 「阿蘇の高菜は霜が降りるからおいしいんでしょうね。三池高菜とは品種が違って、阿蘇高菜は野沢菜の仲間といわれています。花芽が出るころに、親指ほどの太さで収穫してもらっています」

 そう話すのは、阿蘇高菜漬けを製造・販売している山一食品社長の中山達也さん。一般的な高菜漬けは「古漬け」と呼ばれる乳酸発酵したもので、飴色でピリッとした独特な風味がある。刻んで油で炒めたり、ご飯に混ぜたりするのが定番だが、塩クジラを刻んで合わせることもあるそうだ。
 塩漬けで一晩漬けた阿蘇高菜の「浅漬け」も一般的になり、鮮やかな緑色は“おひたし”のように見える。漬けて2〜3日の浅漬けは、切る前に軽く手もみすると香りと辛みが際立つそうだ。醤油をかけて食べるほか、マヨネーズも意外と合う。
ころに一気に芽が出て大きくなり、1反辺り3トンの収穫量がある。冬の期間にこれだけたくさん栽培できる野菜が少ないので、産業として残っているのだろう。
 また、田んぼの裏作で阿蘇高菜を作ると、収穫したあとの残りはそのまま畑にすき込んで、次のお米づくりの肥料分にできる。昔は田んぼにレンゲを蒔いたりしていたが、阿蘇高菜を植えておけば、気象条件が悪くて収穫できなかったとしても、そのまま肥料として使えるため、栽培面積が増えたようだ。
 ほかの地域の高菜と比べて、阿蘇高菜は柔らかさが最大の魅力。そのため、手折りによる収穫が欠かせないが、農家の高齢化が進んでいるので、阿蘇高菜を守るためにどうやって後継者を育てていくのか、今後の課題といえそうだ。

手作業による収穫が特徴




 阿蘇高菜は、霜が降りる直前の10月前半に種を蒔く。収穫時期が集中しないように、なるべく種蒔きの時期をずらしたいが、根を張る前に霜柱が立つと育たないので、あまり遅く蒔くことはできない。厳しい冬を越えて、雪どけして桜が咲くころに伸びてくる。花のつぼみが出たときが収穫適期で、それ以上大きくなって花が咲くと茎が硬くなってし まう。
 「茎の硬い部分は手で折れないので、
ポキッと折れるところから収穫します。硬い茎が入ると繊維質が強くて口に残ってしまうので、手折りでの選別が欠かせません。一時期、鎌で切ったり機械化できないかと生産組合で検討したこともあるんですが、阿蘇高菜漬けの柔らかさを保つには、手作業を続けるしかないという結論になりました」
 収穫した阿蘇高菜は半日ほど畑に置いてしんなりさせたあと、10kgの束にして納品され、その日のうちに塩漬けする。浅漬けは塩分濃度5%、古漬けは10%で漬け込む。浅漬けは二度漬けして水分が出てきたら完成だが、風味と色を残すことが大事なので、温度管理に気を遣っている。古漬けは、2〜3か月塩漬けしたのち、調味液を加えて2〜3日本漬けする。その後、刻んでゴマを加えたり、油炒めにしたり、一本漬けのまま袋詰めされる。
 阿蘇高菜は、お米の裏作として、冬の期間に作られている。夏の葉物は虫が付きやすく、病気にもなりやすいが、冬の期間はその心配が少ない。阿蘇では3月まで寒さが続くので、暖かくなってきた

この赤カブは甘酢漬けなんですが、赤カブだけだと赤くなりすぎてお客さんに色を付けてると思われるので、赤カブと白カブを半分ずつ混ぜてピンク色にしています」
 山菜シーズンになると、近所のお母さんたちに山菜の収穫をお願いしている。
1年分をまとめて塩漬けしておいて、その都度塩抜きして、それぞれの味に漬け直すそうだ。ミョウガやフキなども、旬の時期に1年分収穫して塩漬けで保存する。そのほか、季節ごとの旬の素材を漬物にしている。
 「これは高菜漬けなんですが、産山の高菜は阿蘇高菜とちょっと違うんです。阿蘇高菜は葉っぱが広くて丸いけど、産山の高菜はギザギザがあります」
 創業当初、漬物を目当てに観光客がバスでやって来たこともあるそうで、田んぼの裏作にたくさん高菜を育て、高菜漬けをキロ単位で販売していたこともあった。平成18年に、1000m掘って45度の適温の温泉が出るようになり、今は温泉旅館として、宿泊客のために漬物バイキングが用意されている。

温泉旅館の漬物バイキング

 阿蘇の外輪山を越えて、産山村にある「奥阿蘇の宿やまなみ」を訪ねた。昭和39年に「やまなみハイウェイ」が開通したのをきっかけに、昭和47年に民宿村として12軒がオープン。後継者不足で、当時の宿は「やまなみ」

を含めて2軒だけになってしまったが、創業当時から人気だったのが、自家製の漬物である。
 「元々農家のお母さんたちが始めたので、お客さんを迎えるのに何をすればいいのかわからなかったんです。蔵にたく
さんあった漬物を出したら喜んでくれたので、それからいろんな漬物を研究するようになりました」

 女将の森本節子さんは、なるべく安心なものを食べてもらいたいと、自分の畑で育てた野菜や地元の山菜を使って、たくさんの漬物を用意しているそうだ。以前はふたつのお盆にびっしりの漬物を用意していたが、お客さんの好みに合わせて種類を厳選して、ひとつのお盆に落ちついたという。それでも、塩漬け、甘酢漬け、味噌漬け、醤油漬けなど、数えきれないほどの漬物が並んでいる。山菜は1年分を収穫・保存するが、季節ごとの野菜や野草も漬物にしている。
 「ぬか漬けだけは、おばあちゃんのときから、あまりしたことがありません。

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