東海漬物
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第8回 鹿児島県
鹿児島を代表する「桜島大根の漬物」と「山川漬け」
鹿児島の桜島ではギネスブックに認定された世界一大きい桜島大根が栽培され、
その大根を使った粕漬けや味噌漬け、たまり漬けやシソ風味漬けなどが作られている。
また「薩摩藤」と呼ばれる開聞岳がある指宿市では、
干した大根を塩だけで長期発酵させた山川漬けが伝統的に作られている。
 鹿児島市の錦江湾に浮かぶ桜島は、現在も噴煙を上げる活火山。火山による噴出物で島ができているので保水性が低く農作物は育ちにくいが、火山灰土壌に適した桜島大根のほか、1本の木に世界一たくさん実を付けるという「桜島小みかん」が特産品になっている。桜島の北岳を望む松浦と白浜地区を中心に桜島大根が栽培されている。
 「畑の土に水分が多いと大根は大きく育たないんですよ。水分を求めて根を張って、大きく育つんでしょうね」
 そう教えてくれたのは、桜島大根を作っている農家の村山利清さん。4ヘクタールある畑のうち、60アールで桜島大根を作付けしているそうだ。
 種まきは9月上旬ごろ。石灰をまいて土壌を中和してから完熟ぼかしをすき込み、畝を立ててマルチ用ビニールをかければ準備完了。畝間は1m、株間は90cmにして、1か所に20〜30粒をまくという。
 「種をまいたら、ハトとの闘いなんです。朝から晩まで交替で見張りをしないと、まいたとたん、ハトに食べられてしまうんですよ。まるでハトのレストランみたいになります。大声を出したり、ロケット花火や爆竹を鳴らしたり、とにかく苦労します」  その後、追肥をしたり土寄せをしながら、3回の間引きを経て10月初旬〜中旬に1本立てにする。1月末から2月にかけて、ほどよく育った順にひとつずつ収穫していく。
 理想の桜島大根は、扁平で厚みのあるもので、叩くと締まった音が鳴るもの。軽い音だと中に「すが入っている」(内部が割れて空間がある状態)という。形のいい大根は翌年の種用に20〜30本残しておき、5月ごろに採種する。
フェリーから望む雄大な桜島
桜島大根は、ギネス認定の「世界一大きい大根」
木の棒で軽く叩いてみて、締まった音が鳴るのが理想的

ジューシーでフルーティーな 桜島大根の漬物  「桜島大根はその大きさが注目されますが、肉質が柔らかくてジューシーなんです。粕への漬込みは、主に手 作業で丁寧に行われる包丁で切ったときにフルーティーな香りがするのが、ほかの地域にはない桜島産の特徴ですね」
 鹿児島の漬物メーカー・ふじさき漬物舗の藤崎茂実さんは、創業者である祖父母が桜島出身ということもあり、桜島で栽培された桜島大根に魅せられているひとり。同社の桜島大根の粕漬けは、かつて「鹿児島漬」と称して販売していたが、桜島ブランドを確立したいという気持ちで「桜島漬」と名前を変えたほど思い入れがある。
 桜島大根の粕漬けの作り方は、大根を3cmの厚さに切りそろえ、15〜20%の塩水に半年から1年半漬ける。それから下粕漬け、中粕漬け、上粕漬けにそれぞれ約1か月ずつ、さらに仕上げ漬けを2回
「桜島漬」という名で販売されている桜島大根の粕漬け
行なってようやく完成だ。どんなに早くても秋にならないと食べられない。
 このほかスライサーで薄切りした大根をたまり漬けやしそ風味漬けにしたもの
もあり、桜島大根の迫力を感じられると同時に、ジューシーさが味わえて人気を呼んでいる。薄切りの漬物は塩漬けに約1か月、調味液に24時間漬けて完成する。
 青果として販売されている桜島大根は2割程度で、ほとんどが加工用に使われている。藤崎さんによると、2〜3年前は鹿児島市内のスーパーでもほとんど売っていなかったそうだ。4つ割りにしたものが、400〜500円なので、普通の大根の倍以上の値段。それでも生で食べてもジューシーで甘みがあり、大根くささをまったく感じない。煮くずれしにくいので煮物にも向いているし、まさに「大根の王様」と呼んでいいだろう。
寒風でカラカラに乾燥させた 「山川漬け」
山川漬け用の練馬大根は、土が ついたまま30〜40日間干す

薩摩半島の南端に位置する開聞岳は、「薩摩富士」という呼び名があるとおり、きれいな円すい形をしている。鹿児島県山川町(現在は指宿市)近辺には大根畑が多く、12月から1月にかけてすだれのように大根が何段にも干してある光景が見られる。
 内薗賢漬物商店二代目の内薗幸一さんに、開聞岳を望む大根畑を案内してもらった。
 「ここにあるのはみんな練馬大根です。たくあん用の理想大根だと甘さが出ないので、契約農家で自家採種しながら作っても


らってます。土がついたまま畑でカラカラに乾燥させたあとで山川漬けに加工します」
 9月下旬に種をまき、2回の間引きのあと、11月下旬ごろから収穫が始まる。東シナ海から吹き上げてくる寒風にさらして30〜40日間干し、そのあとで土を洗い、杵でたたきながら塩をまぶしていく。
 昔は餅つき用の杵と臼を使って塩をまぶしていたそうだが、地元の農家が専用の機械を考案して、作業が楽になった。舟形の木鉢の上に大根を入れると、上にある5本の杵が落ちてくる。水分がほとんどないほど乾燥しているので、

 

しわをきれいに伸ばしながら塩をまぶす。昔は「塩を打ち込む」と言ったそうだ。
 その後、スノコを敷いた壺(焼酎を醸造するときに使われていた甕(かめ))に、少量の塩をふりかけながら、寒干しして塩を打ち込んだ大根を敷き詰めていく。8分目くらいで一度中断し、翌日に半分くらいまでかさが減ったら、残りの干し大根を壺いっぱいに敷き詰めて、ビニールシートをかぶせて密封する。約1か月後に染み出た液を抜き取り、最低でも半年以上は熟成させる。染み出た塩水を抜いてしまうのが山川漬けの大きな特徴だ。

 
  本来の「壺漬け」は 山川漬けを使ったもの

 「塩だけしか使わずに焼酎の壺で伝統的に漬けているメーカーは、ほとんどなくなりました。焼酎の壺に漬けたことから壺漬けとも呼ばれていますが、流通している多くの壺漬けは大根の漬物を細かく刻んだもので、伝統的なものとは違うんですよ」
 調べてみると、元は1本漬けのものを「山川漬け」、それを刻んで三杯酢に漬けたものを「壺漬け」と名づけて販売していた。ところがその後、たくあんを刻んで三杯酢に漬けた商品が壺漬けという同じ名前で普及。山川漬けを使った壺漬けと比べると色がきれいで味があっさりしていることから、そちらが一般的になってしまったようだ。
 しかし、一般のたくあんは大根を塩水に漬けて作っているので、山川漬けと大きな違いがある。

山川漬けは塩水に浸らない状態で熟成するので、低塩で仕上がり、しかもアミノ酸などが一般のたくあん漬けより多く含まれている。つまり、食塩以外無添加ながらも、低塩で濃い味の漬物になっているのだ。
 山川漬けの歴史は古く、昔は「唐漬

け」と呼ばれていた。山川町は昔から沖縄や中国との交易が盛んに行なわれ、当時は唐人町という地域があったという。杵でついてから壺で漬ける製法は中国から伝わったという説もある。
 「子どものころのおやつは、サツマイモと山川漬けでした。首のほうは繊維が多くて味が違うので、私は先っぽのほうがカリカリして甘みがあって好きですね。」
 最近の研究で、山川漬けには普通の大根の6倍、干し大根の3倍のGABA(アミノ酸の一種で血圧降下作用で注目されているγ-アミノ酪酸)が含まれていることがわかった。まだまだ先人の知恵に学ぶことは多い。

 

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