東海漬物
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第26回 福島県 会津の伝統野菜と「三五八漬け」 福島県の伝統野菜を調べると、水分が多くねっとりとした日本カボチャ、昔ながらのキュウリ、雪の中で越冬させるアサツキ、南会津でしか栽培できない赤カブなど、会津地方に多くの品種が残され、なかには漬物に向く伝統野菜もあった。また、会津発祥といわれている「三五八漬け」を追いかけたら、思ってもみなかった珍しい漬物が現れた。

核菜稲核菜は霜に当てることで、うまみが増すといわれる。

東西約140km、南北約100kmに広がる福島県は、北海道・岩手県についで3番目の広さがある。南から北へ連なる阿武隈高地と奥羽山脈によって、大きく3つの地域に分けられる。いわき市を中心とする「浜通り」、福島市を中心とする「中通り」、会津若松市を中心とする「会津」と、それぞれ地域や文化にも違いが見られる。天候の違いも大きく、浜通りで晴れていても、会津では雪が降っていることも珍しくない。


福島県内で知られている伝統野菜は「会津」に伝えられているものが多い。その理由のひとつとして、夏は高温多湿で昼夜の寒暖差が激しく、冬は雪に覆われる点が挙げられる。四季がはっきりしているので、季節ごとに採れる独自の品種として定着してきたのだろう。もうひとつは、日本でも有数の米どころという点。山の養分を含んだ雪どけ水によって、おいしいお米が育つという。実は、魚沼コシヒカリで有名な新潟県の魚沼地域と会津は隣合わせで、気候も似ているのである。

いづあかすじ だいこん)、アザキ大根、とこいろ青豆、余蒔胡瓜(よまききゅうり)の15品種。
 「地産地消はよく言われますが、会津ではそれを一歩進めて『土産土法』と呼んでいます。その地域で採れた農産物をその地域独自の調理方法で食べるという意味で、栽培から調理法まで、食文化を継承しながら、町おこしに結びつけていきたいですね」
 守る会では、伝統野菜を使ったレシピを募集したり、料理教室を開催したり、各地の伝統野菜を守る会と交流したり、精力的に活動している。伝統野菜を作る生産者はまだ少ないようだが、料理店やレストランなどを生産者に紹介して、地元で食べられる店を増やしていくのが、今後の課題だという。

「地産地消」から「土産土法」へ

 江戸時代中期にまとめられた日本で最初の農業技術書『会津農書』は、会津地方の農業の発展に欠かせなかった。そこに記載されている在来野菜で代表的なのが「会津小菊南瓜(あいづこぎくかぼちゃ)」である。直径15cmほどの大きさで、小菊の花の形に似ているのが

名前の由来。「日本の昔ながらのカボチャで、今のカボチャのようにホクホクした感じはありませんが、ねっとりとした食感で、ほんのりとした甘さが特徴です。味噌汁に入れるのが定番です。最近、浅漬けにした人がいて、それもおいしかったですね」
 そう話すのは「会津の伝統野菜を守る会」事務局の白井芳之さん。皮が硬いので長期間保存することができるうえ、切り干しにしたり、囲炉裏の上において乾燥させたり、凍み大根のように凍結乾燥させるなど、冬の保存食として大切にされていたという。
 現在、会津の伝統野菜を守る会で「伝統野菜」として認定しているのは、雪中あさづき、荒久田茎立(あらくだくきたち)、ちりめん茎立、会津地葱、会津丸茄子、会津小菊南瓜、真渡瓜(まくわうり)、慶徳玉葱(けいとくたまねぎ)、かおり枝豆、立川牛蒡、舘岩蕪(たていわかぶ)、会津赤筋大根(あ

まった。シードバンクに保存されていた種を使って、2008年に福島県の農業総合センターが栽培し、その後、飯寺地区の農家が種を譲り受けたことから、60数年ぶりに復活することになった。

漬物で食べる「舘岩蕪」と「余蒔胡瓜」

 会津伝統野菜のうち、漬物として食べられている代表格が「舘岩蕪」である。南会津町舘岩地区を中心に栽培されている赤カブで、およそ300年前から焼畑で栽培されてきた。少し長めの楕円形で、肉質が緻密で甘味があるのが特徴。館岩で栽培しないと同じように赤くならないそうで、地域内で自家採種が続けられていて、種は“門外不出”である。
 このほか「余蒔胡瓜」も漬物向きの野菜だ。半白胡瓜のように淡い緑色で、頭の部分がやや濃い緑色になっている。昔のキュウリと同じようにイボがあり、食感は柔らかく、濃厚な味が特徴。ぬか漬けや浅漬けにするほか、炒め物にしてもいいそうだ。このキュウリは、昭和20年代まで会津若松市門田町飯寺地区で栽培されていたが、その後栽培が途絶えてし
 「昔はもち米を炊いて甘酒をつくって、そこに麹と塩を混ぜて作ったけど、今は市販の素があるから、それを買ってきてます。でもやっぱり、うるち米よりももち米のほうが、甘さが出ておいしいですね」
  周辺の農家では、たくあん漬けを三五八漬けにする人もいるようだ。市販の素を使って季節を問わずに漬けることができるが、石沢さんは夏場は傷むのが早いため、秋から冬にかけてしか作らないそうだ。
 最後に「ジャガイモの三五八漬け」という珍しい郷土料理を教えてもらった。ジャガイモ5kgをゆでてからつぶし、ザラメ糖3kg、塩2.5kg、からし少々を加えたもので、どろりとしたペースト状の「いも床」に野菜を漬けるという。いも床の中に野菜を入れてもいいし、野菜にいも床を塗ってビニール袋に入れて一晩おく

方法でもいい。会津では「いも三五八」とも呼ばれているようだが、それにしても、なぜこの食べ方が「三五八」と呼ばれているのだろうか?

農家に伝わる漬物づくり



 会津若松から30kmほど離れた猪苗代町の農家を訪ねて、漬物づくりを教わった。教えてくれたのは、石沢ワクリさん。4町の田んぼでお米を作り(そのうち6反はもち米)、3反の畑で自家用の野菜を育てている。
 最初に出してくれたのが「大根の切り漬け」で、これは皮をむいてざく切りにした大根を塩漬けして、3日後に水分を捨ててから甘酒に漬けたもの。シャキシャキした食感と、甘酒の麹の甘さがほどよく染み込んでいた。
 「キュウリの醤油漬け」は、夏にたくさん収穫したキュウリを塩漬けして保存しておき、冬になってから塩抜きしてか
ら、醤油、 ショウガ、砂糖、酒で漬けたもの。塩漬けのキュウリは奈良漬けにもするそうだ。
 会津発祥の漬物として知られているのが「三五八漬け」である。かつて会津地方の農家は大家族が多く、10人以上の家族も珍しくなかった。一度に炊くお米の量も2升以上になり、ご飯が残ることも多かった。三五八漬けは、その残ったご飯の利用法として、残った米に麹を入れて糖化させて、塩を加えて漬け床にしたのが始まりだという。塩三合、米麹五合、米八合の割合で作るので、「三五八漬け」という名前になった。
 麹の自然な甘さと優しい香りが独特で、ぬか床のように毎日かき混ぜるような手間がなく、気軽に作れる漬物といえるだろう。

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