広島菜はアブラナ科に属する野菜で、白菜の一種といわれている。1株が50〜60cm、2〜3kgに達するほど大きく育ち、葉は緑色が鮮明、幅広で肉厚、白菜のように結球しない。生食での利用はほとんどないが、浅漬けにすると歯切れがよく、ほんのりとした辛し風味が好まれている。
中国山地から瀬戸内海に流れる太田川流域(広島市安佐南区の川内地区)で、広島菜は栽培されてきた。川内地区は太田川の中州にあり、ときどき氾濫して肥沃な土地になった経緯から、水はけも良く、野菜づくりの適地としても知られている。
昔、広島には陸軍、隣の呉市にも海軍の基地があったことから、川内地区がその食料生産を担ったが、兵隊さんが食べるものだけあればよかったことから、これといった特産品がなかったという。地元では「川内から嫁をもらうのはいいが、嫁には出すな」と言われるほど、農家は大変だったようだ。