らっきょうは中国原産で、日本では薬用として江戸時代に食べられるようになった。鳥取へ伝わったのは、参勤交代のときに小石川薬園(現在の小石川植物園)から種を持ち帰ったのがきっかけといわれている。
らっきょうは生命力が旺盛で砂地でも育つことから、農家が自家用として栽培してきたが、福部で本格的な栽培が始まったのは酢漬けが一般的になってきた大正時代のころ。かつては、“嫁殺し”と呼ばれた砂丘地での過酷な労働も、現在では機械化が進み、スプリンクラーが導入されたことで、作付け面積は約123ヘクタールと一市町村としては全国一を誇っている。
「砂丘地で栽培されるらっきょうは、透き通るような白さとシャキシャキした歯ごたえが特徴なんです。同じらっきょうでも、他の産地の平地で栽培しているものと品質が違うんですよ」