梅の最高品種とされる「南高梅」は、皮が薄くて、果実が非常に大きく、肉厚で柔らかいのが特徴。和歌山県のみなべ町が発祥の地といわれている。明治35年、高田貞楠氏が購入した60本の苗木の中に、実が大きくて収量が多い木があることに気づき、その木を母樹(高田梅)にして自宅近くの畑で育ててきた。そして昭和25年に優良母樹調査選定委員会が設立され、5年の選抜調査を経て、ほかの品種の群を抜いて高田梅が優良であると認められ、昭和40年に「南高梅」と名づけられて種苗登録された。
日本人に親しまれてきた梅には、暮らしに関係する言葉がたくさんある。例えば「塩梅(あんばい)」という言葉は、料理の味加減がいいことを指し、かつて調味料として梅酢が使われていたことからきている。また「梅雨(つゆ)」という言葉からわかるように、梅が育つには雨が欠かせない。梅雨は梅にとって恵みの雨で、この時期に梅の実は大きく膨らんでいく。